オリガク! -折舘東学園の日常的(恋)騒動-
目の前では女子バドミントン部が。奥のコートでは男子バスケ部が。2階には卓球部が。元気よく声を出して動きまわっている。でもやたらとステージ側を窺ってくる。
なんで虎鉄とバクに挟まれるように座っちゃったんだろう。
早く帰りたい……それか部活に行きたい。処分中って、部活に顔を出すのもダメなのかな。
ダメなら、壁打ち中のミーアに話を聞いてほしい。
シャトルに恋してんのかってくらい、私と目を合わせようとしないけど。
バドミントンと私どっちが大事なの!?って言いたい。
「はあ……」
「なんすか先輩。溜め息ばっかついて」
右隣にいる虎鉄が手を動かしながら訊いてくる。
「べつに……飽きた、これ」
「まあ溜め息もエロ可愛いからいいっすけど」
「……エロは要らないけど、どうもありがとう」
虎鉄も飽きたのか、手を休めて私に視線をよこした。
「先輩って勉強も運動もできるってマジっすか?」
「何よ急に……平均以上はできるけど」
「へー。文武両道? スペック鬼たけぇっすね」
「私もそう思う」
ブフッ、と吹き出したバクを見遣る。
「バンビ先輩、謙遜しねぇってマジなんすね!」
「それが何よ。悪い?」
刺々しい口調だったと、きょとんとしたバクを見て思う。
しまった……感じ悪かったかも。
心配を余所に、バクは何度か目をしばたたかせてから「いや全く?」と小首を傾げた。