オリガク! -折舘東学園の日常的(恋)騒動-
「それに、」
ぎゅうっと抱きしめる腕の力が増し、息を呑む。
「今日の先輩、“かまってちゃん”っすよね?」
カッと頬が赤くなるのを感じ、とっさに顔を背けた。
かまってちゃん、って。
何それバカにしてる。べつに構ってほしかったわけじゃないし、虎鉄に気にかけてもらったところで……。
「~っなんで、」
なんでこんな、恥ずかしい思いをしなくちゃいけないの。
虎鉄が私を見て“かまってちゃん”と判断したからなのか。無意識だっただけで図星かもなんて頭をよぎったからなのか。見当がつかなくても、火照る顔の熱は本物で。
『私先輩なのに』とか『年下のくせに』とか、心の表面で苦し紛れの応酬をするしかなかった。
「落ちつきました?」
落ちつくどころか絶賛赤面中なんですが!
「先輩?」
「わぁああああかったから! 離してっ!」
危うく顔を覗かれるところで、じたばたするも虎鉄の腕は男のそれで、びくともしない。
「嬉しくなかったっすか? 構い方間違えました?」
「ギャーーッ! もーっうるさいうるさい! いいから離してってば!」
何か言われるたび体温が1℃上がっているような気になる。
それでいて触れ合っている部分は一定の熱さを保っているようで、のぼせてしまいそう。
ダメだ。これは……今日は、ダメだ。