オリガク! -折舘東学園の日常的(恋)騒動-

「違うんです今のは突っ込みであって暴力では……!」


私に弁解する必要はないけど、そんなもので突っ込まれたら虎鉄の頭はいつかスイカみたいに割れると思う。


「これ、一応、あの、衝撃吸収のカバーでして……っ」


守られているのはタブレットのほうだよねって突っ込んだほうがいい? あと虎鉄が今にもキレそう。


なんて返せばいいのか悩んでいると、きゅうちゃんは徐々にタブレットで顔を隠していき、


「ぼ、暴力オトコ女でごめんなさい……」


と眉を下げた。


「じゃあ今こそ土下座すべき時だなー、きゅう」

「……、はい?」


私が訝しむと、バクはにっこり笑う。


「こいつ、こんなんだから。小柄でミス・オリガクの可愛い女子代表みたいなバンビ先輩に憧れてるんすよー」


事の発端である“かりんとうを頼んできた怖いやつ”と、虎鉄に写真を頼んだのは、きゅうちゃんとのことだった。


憧れるあまり緊張して、なかなか声をかけられなかったらしい。


女の子だったのはちょっと意外だったけど、そういうことなら初めに言ってくれたら良かったのに。


きゅうちゃんを見ると緊張しているのか、バクの説明にも反応を示さず、目を伏せたままでいる。


化粧っ気が全くないんだな。髪もブローしてる感じがしない。無頓着なのか、羞恥心が邪魔しているのか。どちらにしてもカジュアルとか、ボーイッシュって印象を与える子だった。
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