オリガク! -折舘東学園の日常的(恋)騒動-

「きゅうちゃん、ずっと黙ってるじゃん! 傷付けたかもって少しくらい頭に浮かばないわけ!?」


小柄で可愛いものに憧れる子に対して、しかも私の前でコンプレックス突くなんて!


「体ばっかでかいとか、女らしくしろみたいなこと笑って言って、はあ!? 生まれる前に外見も性格も選んでるんじゃないのよ! 模索して努力できるようになってるんでしょ!?」


昨日、感じ悪かった私に対して、『そういうの嫌いじゃない』って言ってくれたから、ちょっと救われたのに。


「人の苦労を本気でバカにする男、大っ嫌い!」


そうまで言い切った私は、私の全てが天然ものだと思っていた元カレを思い出してしまった。


冗談じゃない。2日連続で古傷を抉られてたまるものか。


睨み据えるとバクは気合負けしたのか、あとずさった。


「え~……なして俺が怒られるんすかぁ……」


嘆くような声を出されようと俄然無視に徹する。


苦労話を聞いて慰めてほしいわけじゃない。努力を認めてほしいわけじゃない。ただ少しでいいから、褒めてほしかっただけ。私は、喜んでほしかっただけ。


たった一言、『可愛い』とか『ありがとう』とか『嬉しい』とか。それらは全て、好きな人の笑顔をもっと見たいって思える、魔法の言葉だったから。


「きゅうちゃん身長何センチ?」


びくりと肩を強張らせたきゅうちゃんは目を泳がせ、ぼそぼそと170ちょっとだと教えてくれた。
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