中指


「美華……、お前は優しすぎる。それはある意味、残酷だ」


語気を強めてそう言った彼の顔は、心なしか赤味を帯びていた。


「な、なに言ってんのさ……」


交際を申し込んできた相手をその場で断る勇気のないわたしは、何日か付き合って自分の優柔不断さを思い知るところとなる。

それが優しさでないことも。

自分勝手な思い上がりだってことも。



わかってる。


けど……

勇喜にだって責任の一端はあると思う。
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