ショコラ SideStory
「う、詩子さん?」
ゴクリ、唾を飲み込む音が聞こえそうなくらい、喉の動きが良く見えた。
「さあ、遅くなったけどデートしましょ」
笑って腕を組むと、宗司さんはギクシャクしながら歩き出す。
喉元まで出かかってる『愛してる』はまだ封印しておこう。
だって、同じ言葉が宗司さんから聞かせてもらえる日は遠そうだもの。
いつかあなたからその言葉を聞けたなら。
あたしはその3倍くらい同じ言葉を繰り返してやるわ。
【fin.】