ショコラ SideStory

「まあ、あれだ。マサも和美ちゃんと仲良くやれ」

「無理矢理そっち持っていきますね」


笑いながら、マサは金庫の鍵を閉める。


「今日の売り上げはこれです。こっちに金額書いておきましたから。じゃあ俺もそろそろ帰ります」

「おう。気をつけてな。入り口の札を【close】にしてってくれ」

「はい。お疲れ様でーす」


エプロンをはずしカバンに突っ込み、マサは落ち着いた動きで店を出る。
カラン、今度はゆっくりと鈴が鳴った。

今時ドアに本当に鈴をつけているなんてレトロだと詩子は言うけれど、これを変えるつもりは無い。

ドアの開き具合で客の急ぎ具合や気分が鈴に伝わることがあり、それに助けられたことも何度もあった。

つまりこの鈴は店をずっと見守っていてくれた訳で、音色も俺のお気に入りだ。


「さて。俺も片付けるか」


店内の方は、静香ちゃんとマサが片付けていってくれているので、俺は厨房を片付ける。

ガス栓を閉め、残ったケーキを箱に詰め、出しっぱなしにしていた材料たちを定位置に戻す。
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