ショコラ SideStory

 先月に親父に言い渡された課題である、クッキーのアイシング。
GWはバタバタしていて練習も出来なかったけど、いい加減本腰を入れないといけない。

とはいえ、家でやっても店でやっても親父に見られるし……と思うと落ち着いて取り組めない。


 そんな話を宗司さんにしてみたら、アパートのキッチンを貸してくれると言ってくれたので、今回の定休日は色気も無くアイシングの練習日になった。


宗司さんの部屋は狭い。
ベッドとパソコンデスクと衣類ハンガーでもう一杯って感じ。

でもキッチンは一人暮らしなのに広い。
二畳程度の広さはあって、オーブンレンジもある。
クッキー焼いてアイシングする位のスペースは確保できると言うわけ。

なぜこんなに広い台所付きの部屋を選んだのよとか、いろいろ勘ぐってみたい気もしないでもないけど、貴重な休みに喧嘩をするのも馬鹿げているからしない。


「頑張ってね」


そういうと、宗司さんは部屋の方へ行きパソコンデスクの前に座った。

ホントに邪魔しないようにしてくれてるんだと思うと、嬉しいやらちょっと寂しいやら。
でも頑張って親父にあたしのこと認めさせるんだから。
ちゃんと作る方の仕事だって出来るのよってところを見せたい。


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