ショコラ SideStory

 本日、喫茶店『ショコラ』は定休日。

あたしは朝から店内の大掃除中。
モップを持って店内を一巡りした後、なかなかはかどらない厨房の掃除に挑む。


「ほらどいて、父さん。邪魔」

「詩子、厨房はいいぞ。俺は今日は試作品作りするんだから」

「そう言って、定休日もここを使われてるから、キレイにならないのよ。わかってる? 厨房よ? 一番清潔にしなきゃいけないところよ。なのに父さんがそんなだから、いつまで経っても完璧には綺麗にならない」


睨みを聞かせて蕩々と説教する。

それでも開店前とか出来るだけモップがけや雑巾がけはしているつもりだけど。
掃除だけに充てれる日が無いってのがキツイ。


「とにかく一時間でいいからあっち行ってて。何が何でも十時までには終わらせたいの、掃除」

「何慌ててんだよ」

「だってデートだも……あ」


みるみるうちに、形相が変わる親父。

怖いって。
この顔、母さんに見せたらどんな風に言われるんだろう。


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