ショコラ SideStory
*
「カスタードケーキください」
一週間後、そう言って100円玉を握りしめた小学生がやってきた。
「はい。ぴったり100円になります」
「ありがと」
お会計を済ませたその子は、ケーキを頬張りながら外へ出て、二階への階段を上がっていく。
「あー買い食いいけないんだ!」
上から小さく響いてくる子供たちの声にあたしの頬も緩む。
あれから、宗司さんは説明会を開き、問題になった授業についての説明をしたらしい。
それを聞いた上で、辞めた人は一人。残りの生徒さんは皆残ることを決めてくれたと聞いた。
『残ってくれた人たちに、良かったと思ってもらえる授業をしないと』
そう言って笑う宗司さんは、いつもと違ってたくましく見えて、なんだかとても格好良かった。
「詩子、もうそろそろ上がっていいぞ」
厨房に下がったあたしに、親父は顔を上げてそう言った。
「……ちょっとだけ、場所貸してよ」
「ん?」
怪訝そうな顔をシカトしつつ、あたしはクッキ―にアイシングを絞る。
【がんばって】
【ば】がイマイチ上手じゃないけど。これが今の、彼に届けたいあたしの気持ち。
「俺にくれるのか」
「んなわけ無いでしょ。宗司さんによ」
「あんまり甘やかすなよ」
「そんなことしてないわ」
甘やかされてるのはあたしの方だ。
親父にも、宗司さんにも。
好き勝手やっているのに、いつもあたしは許される。
「カスタードケーキください」
一週間後、そう言って100円玉を握りしめた小学生がやってきた。
「はい。ぴったり100円になります」
「ありがと」
お会計を済ませたその子は、ケーキを頬張りながら外へ出て、二階への階段を上がっていく。
「あー買い食いいけないんだ!」
上から小さく響いてくる子供たちの声にあたしの頬も緩む。
あれから、宗司さんは説明会を開き、問題になった授業についての説明をしたらしい。
それを聞いた上で、辞めた人は一人。残りの生徒さんは皆残ることを決めてくれたと聞いた。
『残ってくれた人たちに、良かったと思ってもらえる授業をしないと』
そう言って笑う宗司さんは、いつもと違ってたくましく見えて、なんだかとても格好良かった。
「詩子、もうそろそろ上がっていいぞ」
厨房に下がったあたしに、親父は顔を上げてそう言った。
「……ちょっとだけ、場所貸してよ」
「ん?」
怪訝そうな顔をシカトしつつ、あたしはクッキ―にアイシングを絞る。
【がんばって】
【ば】がイマイチ上手じゃないけど。これが今の、彼に届けたいあたしの気持ち。
「俺にくれるのか」
「んなわけ無いでしょ。宗司さんによ」
「あんまり甘やかすなよ」
「そんなことしてないわ」
甘やかされてるのはあたしの方だ。
親父にも、宗司さんにも。
好き勝手やっているのに、いつもあたしは許される。