ショコラ SideStory
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お昼休みの給湯室は本日に限り尋問スペースへと変わっている。
「で、どうなったの。教えなさいよ」
森宮ちゃんは若干二日酔いらしく、「頭が痛くなりそうなので」といつもは結っている髪も下ろしている。それでも問い詰めれば照れたように笑うので、きっとうまく行ったのだろう。
「えっとですね。一応、プロポーズしてもらって。誕生日より前に挨拶にも来てくれるって」
予想よりも具体的に話が進んでいることに驚いて、思わずマジマジと見返してしまう。
「意外。決めたら動きは速いのね」
「ずっと色々考えていてくれたみたいです」
嬉しそうに頬を染める森宮ちゃんを見て、私はホッとした気持ちになった。
「で、なんて言われたの。つか、あの場で言ったの?」
「え? そんなの聞きます?」
「聞きます。気になるじゃない。いいじゃない教えてよ。私、心配してたんだから」
「え、っとぉ」
顔を赤くして、目を彷徨わせる森宮ちゃん。
「ここじゃ、言いづらい……んですけど」
「何よ。じゃあ今日も飲みに行く?」
「今日は夜会議があるからダメです」
「じゃあこっち」
仕方ないので場所を変える。
まあ確かに、給湯室なんて穴だらけだものね。
二人連れ立って、空いている会議室に入る。
すました顔してれば、誰も不審には思わないもんよ。