ショコラ SideStory
舌触りが良くて甘みが広がる。
これはかなり丁寧に泡立てたのかも。
「次は……」
「待って、先に水。続けて食べたら味が分かんない」
「そっか。ちょっと待って」
素直に水を持ってきてグラスを渡してくれる。
その時にちょっとだけ指先が触れる。
ごつごつしてるけど動きは繊細な指。
私の一番好きなもの。
触れるだけじゃ物足りないのに。
「いいよ」
「今度のは砂糖を変えてみたんだけど」
「ん」
メープルの香りだ。風味が出ていいかも。
でもね。
隆二くんがクリーム夢中なのが面白くないから、何を食べても楽しくない。
スイーツに喧嘩売ったって、仕方ないとは思うけど。
「どれもおいしいけど、なんか物足りないわ」
「そう? じゃ、もう1つ作ってみようかな」
そう言って隆二くんは冷蔵庫に向かう。
大失敗。
ますますそっちにいく?