ショコラ SideStory

舌触りが良くて甘みが広がる。
これはかなり丁寧に泡立てたのかも。

「次は……」

「待って、先に水。続けて食べたら味が分かんない」

「そっか。ちょっと待って」

素直に水を持ってきてグラスを渡してくれる。
その時にちょっとだけ指先が触れる。

ごつごつしてるけど動きは繊細な指。
私の一番好きなもの。
触れるだけじゃ物足りないのに。

「いいよ」

「今度のは砂糖を変えてみたんだけど」

「ん」

メープルの香りだ。風味が出ていいかも。

でもね。
隆二くんがクリーム夢中なのが面白くないから、何を食べても楽しくない。
スイーツに喧嘩売ったって、仕方ないとは思うけど。

「どれもおいしいけど、なんか物足りないわ」

「そう? じゃ、もう1つ作ってみようかな」

そう言って隆二くんは冷蔵庫に向かう。

大失敗。
ますますそっちにいく?

< 3 / 432 >

この作品をシェア

pagetop