ショコラ SideStory
「詩子さん、ごめん」
「親父にあんなこと言わないでよね」
「ごめん。でも……」
宗司さんは一歩近づいて、あたしの手に触れる。
あたしは、貴方のその情けない顔に弱いみたい。
理性とか世間体とか、たまにどうでも良くなる。
肩にそっと頭をのせて、ほんのり幸せ気分。
「怒ってないから元気だして」
「うん」
「頑張って二人で親父に認めさせましょうよ!」
「そうだね」
手を取り合ってあたしたちは駆け出す。
――ほのぼのした幸せに、少し課題がついた日の出来事。
【fin.】