ショコラ SideStory
*
そして早朝に、宗司さんと一緒に家に戻ったあたしを、すでに身支度を整えている親父と母さんが出迎える。
「お前たちぃ」
怒りに満ちた親父の口を、すぐさまふさぐ母さんの手。
「……決まったの」
「うん」
「まあ詩子が私に話すのは、たいてい結論が出てからなのよね」
とため息をついて、笑った。
この反応の時は、あたしの決めた結論を応援してくれる時だ。
「香坂さんのお話、受けようと思ってる。結婚は、戻ってきてから」
「それまでに、マスターと康子さんが安心できるくらいしっかり仕事を安定させます」
並んで言ったあたしと宗司さんに、親父と母さんは顔を見合わせて苦笑する。
「……寂しくなるわね」
「ちゃんと技術つけて戻ってくるわよ。だから、その時はまた『ショコラ』に戻っていい?」
親父はあたしの視線を受け止める。
「その時は正社員だな。一人前の技術者をバイトみたいな雇い方するわけにいかない」
「父さん」
「ちゃんとプロになって帰ってこい」
「……ありがとう」
あたしが頭を下げた隣で、宗司さんも当然のように頭を下げる。
そのとき、一緒に生きるって、こういうことなんだと思った。
互いの人生を自分のものとして受け入れて生きること。
だとしたらあたしも、これからそんな風に生きよう。
宗司さんがこれから直面するすべてのことを一緒に受け止めていこう。
彼が、あたしをそうして送り出してくれたように。
そして早朝に、宗司さんと一緒に家に戻ったあたしを、すでに身支度を整えている親父と母さんが出迎える。
「お前たちぃ」
怒りに満ちた親父の口を、すぐさまふさぐ母さんの手。
「……決まったの」
「うん」
「まあ詩子が私に話すのは、たいてい結論が出てからなのよね」
とため息をついて、笑った。
この反応の時は、あたしの決めた結論を応援してくれる時だ。
「香坂さんのお話、受けようと思ってる。結婚は、戻ってきてから」
「それまでに、マスターと康子さんが安心できるくらいしっかり仕事を安定させます」
並んで言ったあたしと宗司さんに、親父と母さんは顔を見合わせて苦笑する。
「……寂しくなるわね」
「ちゃんと技術つけて戻ってくるわよ。だから、その時はまた『ショコラ』に戻っていい?」
親父はあたしの視線を受け止める。
「その時は正社員だな。一人前の技術者をバイトみたいな雇い方するわけにいかない」
「父さん」
「ちゃんとプロになって帰ってこい」
「……ありがとう」
あたしが頭を下げた隣で、宗司さんも当然のように頭を下げる。
そのとき、一緒に生きるって、こういうことなんだと思った。
互いの人生を自分のものとして受け入れて生きること。
だとしたらあたしも、これからそんな風に生きよう。
宗司さんがこれから直面するすべてのことを一緒に受け止めていこう。
彼が、あたしをそうして送り出してくれたように。