ショコラ SideStory
大好きな人と同じ空間。
折角一緒にいるのに、指をくわえて見てることしかできないの?
あの強い眼差しもその指先も。
私のものにしたいのに。
「足りないのは、雰囲気だと思う」
「雰囲気?」
「そう例えば」
彼の手を捕まえて、指先にクリームをつける。
ぎょっとしたようにこっちを見る目が好き。
そうこなくっちゃ。
「これならおいしいわ?」
そっと舌を出し、甘くて柔らかいそのクリームを口に含む。
「康子さんって肉食系」
そう笑いながらも、彼の指が私の舌の裏側をくすぐる。
甘い味と指が作り出す刺激。
そして、ようやく私に向けられた彼の眼差し。
「もっとちょうだい?」
彼の指先の甘いクリーム。
舌を絡めて、じっくりと味わおう。
【fin.】