ショコラ SideStory
「隆二くん心配してるわよ」
『うん。今あたし宗司さんの部屋にいるんだけど。……遅くなりますって親父に伝えてくれる?』
「そういうこと? ふうん。まあいいけど。宗司くんはちゃんとアンタのこと考えてくれてるのよね?」
厳しく言うつもりは無いけど、親の道をなぞるようにできちゃった結婚されても困るしな。
一応釘はさして置かないと。
『おそらくあたしよりね』
詩子のその一言に安心する。
そうね。
真面目そうな男の子だもの。大丈夫よね?
「ならいいわ。隆二くんのことは私に任せなさい。朝まででも大丈夫よ」
『恩に着ます』
母と娘のヒミツの会話ってところかしら。
隆二くんが厨房に行ってるタイミングで良かった。
「はい、康子さん。コーヒー。電話? 仕事だった?」
「ええ」
香り高いコーヒーと共に置かれたのは、アイシングで飾られたクッキー。
花の模様が書かれていて、お皿に広がった花畑という感じ。