ショコラ SideStory
森宮ちゃんが頬杖をつきながら印刷所から送られてきた雑誌とにらめっこしている。
「どうしたの?」
「いや、この彼格好いいですよね」
「ああ、オンリー文具の」
『デキるOLのこだわりの一品』の記事で紹介したボールペンを説明してくれた人だ。
名前は松山真司くんだったかな。
本当ならば最初に企画したという女性社員へのインタビューだったのだけど、当日外せない仕事が入ったとかで、同じ開発チームの彼が担当してくれた。
ぶっちゃけて言うと、こっちにしてみれば彼で良かった。
一見軽そうにも見えたけど、話上手で説明も丁寧。
そしてOL心をくすぐりそうな風貌。
雑誌に載せた時に、おそらく女性社員より映えただろうと思う。
「今回多分評判いいですよ。康子さんの記事も良かったですし。アレですよね。私的にはボールペンって盲点でしたけど、言われてみれば書き味がいいものはずっと使いますもんね」
「でしょ? 一部もらってもいい?」
「どうぞ。隆二さんに見せるんですか?」
「ええ」
くすりと笑って受け取る。