ショコラ SideStory
生まれ育った家に別れを告げる、なんて言うほどしんみりとしたものではないけれど。
「よろしくお願いします」
「はい、確かに鍵をお預かりします」
人のよさそうな不動産オーナーに家の鍵を渡す。
私が住んでいた家は、不動産屋に管理をお任せして貸家にすることにした。
ダラダラと処分を迷っていた背景には、詩子が結婚するときにでも住めばいいじゃない、なんて思いもあったのだけど、今の詩子と宗司くんではまだ結婚までの話にはいかなさそうだし。
いつまでも別居生活をすることにも飽きてきた。
だったらそれまでの期間、人に貸してきちんと管理してもらったほうがいい。
引越しはGW期間中に何とか終了。
古い家財の処分が大変だったけど、社内で欲しがる人も居て結構引き取ってもらえたし。
さあ今日から心機一転頑張らないと。