ショコラ SideStory


「ああ、いい感じだな。販売の方で売れてる。今日は残らんな。追加で焼いても良いくらいだが」

「焼かないの?」

「早く閉めようかと思ってる。康子さんも夜空いてるだろ? 二人でちょっと出かけよう」

「……え?」


どんな風の吹き回しだろう。
隆二くんからどこか行こうなんてかなり珍しいですけど。



「昼飯食ったの?」

「慌しくてまだ。サンドイッチかなんか頂戴」

「ああ、すぐ作るよ」


そう言って隆二くんは厨房に戻っていく。その間も、詩子は店内を行ったりきたり。

それでも営業スマイルが崩れないのは流石ね。
接客業には向いてるんだわ、あの子。



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