ショコラ SideStory
「いいから、行こう」
隆二くんに引っ張られるように、夢の国へと足を踏みいれる。
まずはお城のような建物や、古い石垣を模した壁が目に飛び込んでくる。
そしてたくさんの人。皆楽しそうに笑っている。
かと思えば、ファンタジックなキャラクターが道を闊歩していて、その周りを芸能人を追いかけるファンさながら子供や大人がまとわりついている。
なんとなく別世界に来てしまった。そんな感じがする。
「なんか乗りたい?」
「そうね。せっかくだから」
引っ張られるように絶叫系の乗り物に乗る。
夜の混み具合だからか、待つのはせいぜい15分くらいなものだった。
「うわああぁぁぁぁ」
隆二くんの雄叫びがあまりに凄いので、私は叫ぶタイミングを逃してしまう。
猛スピードの列車に乗せられて息もつけないくらいの数分を過ごし、降りると隣にいるのは目を充血させて息を整える隆二くん。
「アトラクションは苦手?」
「そうらしい。あんまり乗ったことがなかった」
「じゃあ休みましょ。こっちよ」