ショコラ SideStory


隆二くんの手を引いて、お茶を飲めそうなところを探す。

だけど通りはやたらに人が混みだしてきた。
レジャーシートを敷いて座り込んでる人たちもいる。

その人混みの中を私は潜り抜けようとしたけれど、隆二くんは立ち止まり、むしろ私の方が引っ張られた。


「パレード、もうじき始まるんだな。康子さん、ここでいいよ。俺、今日はこれを見せたかったんだ」

「え?」


引っ張られた力に従って、隆二くんの肩に顔があたる。
そのまま彼は私の肩を抱き寄せた。


どうしたんだろう、いつになく強引だ。
不覚にもドキドキしちゃうじゃないのよ。


「な、何か飲みたいんじゃないの」

「いい。良く観える所で見せたい。ホラこっちおいで」


人がギュウギュウだから、隆二くんが私を包むように後ろに立つ。
人混みは大嫌いだけど、このシチュエーションはいいかも。かなりときめく。

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