ショコラ SideStory
やがて始まるパレードは、夜のものだからか電飾がたくさんついたきらびやかなもので。
リズムよく流れるメロディー、笑顔を振りまきながら踊るダンサー。
普通にはあり得ない夢の世界の住人達が、私たちの周りも夢の世界に変えていく。
わあ、凄いわ。
こういうのって実は初めて見るけど、案外いいもんなのね。
ふわふわの夢の世界に潜り込んだみたい。
「……笑った」
「え?」
顔を右斜め上にずらすと、私を見ている隆二くんと目が合う。
「隆二くん?」
「気に入った?」
「ええ。初めて見たけど。結構いいもんね」
「……良かったぁ」
明らかにホッとした様子で、隆二くんはクシャッと笑う。
その内にパレードは先に進んでいってしまい、周りの人達が散らばっていく。
私は、なんとなくすぐ動く気にもなれず、隆二くんの袖を引っ張って人並みから少し離れたところに陣取った。