ショコラ SideStory


「俺はその時頷いたのに。結局は夢なんてなんにも見せてあげれなかった」

「……それで、パレード?」

「詩子が凄く良かったって、夢見てるみたいだったって言うからさ」

「やだ。もう」


顔が熱くなる。
こんな50手前の女捕まえて、今更夢見させてやろうってどうなのよ。

ホント馬鹿。
ホントヘタレ。

ホント……どうしようもないわ。大好き。



「……康子さん、目が赤い」

「うるさいな。あなたが柄にも無いことするからじゃないの」

「少しは夢見れた?」

「別に私は夢見がちじゃない」


でも。
こんな時に落とされるキスは好きだ。

人前とか年がどうとか、考えられなくなるくらいに。


こういうところが夢見がちだって言うの?



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