ショコラ SideStory
その後しばらく園内をみて。足が少し痛くなってきたから帰ることにした。
「今日から同じ家に帰れるな」
「そうね。不束者ですがよろしくお願いします」
「なんだよ、改まって」
「一応ゴアイサツよ」
「じゃあ、俺も」
そう言って、隆二くんは私を後ろから抱きしめた。
「ケーキ馬鹿ですがよろしくお願いします」
耳にかかる息が、涙腺をくすぐる。
「……そこ開き直っちゃう?」
「開き直る以外にできることもないし?」
「そうね」
本当に我慢出来るのかどうかなんて分からないけど。
今日は寛大な女になりましょう。
そう思えるのは、夢の国で魔法をかけられたからかもしれない。
【fin.】