ショコラ SideStory
そんな康子ちゃんが、運命の相手と出会ったのは彼女が24歳の時。
失礼な言い方になるが、本気で猛獣化したんじゃないかと疑うような血走った目をしていた。
何が何でも捕まえてやる、そんな気迫さえ感じた。
そして相手の男は弱小動物だったのだろう。
猛獣に敵うわけはなく、あっさりと捕獲されていた。
それからの康子ちゃんの機嫌の良さと言ったら無い。
いつもウキウキしていたし、妙な色気が漂っていた。
お前、そこまでフェロモン出してると痴漢に遭うぞ、と忠告してやろうか迷うほどに。
そして付き合いだしてたかだか3ヶ月で、彼女は妊娠した。
「……どうするんだよ」
「さあ?」
たまたま、彼女が俺の前で吐き気をもようしたことで、俺は一番にその事実を知ってしまった。