ショコラ SideStory
松山くんの隣に座り彼を見ると、彼の目の前のお皿はもう空になっていて、残っているコーヒーを口に含んでいた。
「……もう一杯どう?」
「え?」
「あなたも暇なんでしょ。ちょっと話しましょ。一杯分おごってあげるから」
「え? それはいいんですが。でも親父が」
厨房の隆二くんを気にする松山くん。
今はケーキの仕上げで忙しいわよ、どうせ。
私の反応確認する余裕も無いんだから。
「マサくん、キリマンジェロコーヒー2つ頂戴」
「は、はい!」
マサくんは飛び跳ねるようにやってきて、コーヒーを2杯分入れ始める。
その間に隆二くんが注文のケーキを出してきて、私に何か話しかけようとするけど、その前にレジ前のお客さんに呼び止められる。
ああホント忙しそうね。
でも、今二人組が出て行ったってことは、二人がけ以上の席が空いたってことだ。
私は貰ったコーヒーを両手に受け取り松山くんに言った。