ショコラ SideStory
ちらり、上目遣いにマツくんを見る。
作りの整ったいい男。
不安そうな顔しててもどこか安定して見える男は大抵何かしらの自信を持っているもんだ。
それが彼にとって仕事なのだとしたら、逆に仕事に関しては不安めいたことは言いたくないのかもしれないわね。
「そうなの? 言い訳すればよかったのに。……でもそうね。仕事が絡むと難しいわよね。相手を不快にさせるわけにもいかないし。……ねぇどんな仕事だったの?」
「俺、昔名刺ケース作ったんですよ。彼女がアパレルのデザイナーをしてて、その名刺ケースをコラボして制作したんです……って康子さんちょっと雑誌記者の目になってますよ?」
そりゃそうよ。雑誌のネタになりそうだもの。
コラボか、いいわね使える。でもこの間オンリー文具を取材したばかりだから、続けてだと他のスポンサーからなんか言われるかしら。
いっそそっちのアパレル経由で話を進めたほうがいいかも。
って、いかん、私仕事になってる。
今はいい男の恋愛観を聞き出すのを楽しまなくっちゃ。