ショコラ SideStory
「だって面白いもの。アパレルメーカーと名刺ケースのコラボね。面白いこと考えたわね。あーでも、彼女からしたらコラボってのが嫌よねー。いかにも共同作業って感じで」
「やっぱりそうですよね、いい気もちしない。逆の立場だったら俺我慢できないかもしれない。でもそういう事一言も言わなかった。それがちょっと俺の不安でもあったり、って俺なんか女々しいな」
不安?
何に対する不安なのかしら。
何も言わないくらい程度の男だと思われてた……とか?
うわー、あり得ない。
そっちに思考が行ったら、何も言えないくらい追い詰められてる女の立場がないわ。
すれ違いよ、すれ違い。
……ああ、人の話だとこういうのも面白いわね。
自分だったらもう気が狂いそうになるところだけど。
「一言も言わなかったなんて、随分出来た彼女じゃないの。……我慢してたのかも知れないわよ。今からでもたくさんフォローしてあげればいいじゃない、愛してるよって」
「それは毎日伝えてるんで大丈夫です。康子さんは親父さんにヤキモチやいたりします?」
内心の冷やかしを隠して大人な意見を言うと、惚気で返される。
しかも切り返しがそっちでくるかぁ?