ショコラ SideStory
「こっちみてる? ふふ、気分いいわ。ヤキモチの後を上手く乗りきれると凄く大事にしてくれるのよ。駆け引き。あなたも覚えておくといいわ」
「駆け引きか。上級だな、俺は無理かも。で、親父はどんな風に大事にしてくれるんですか?」
うわ、そこ突っ込む?
語り出したら半径二メートル内の人間は聞き耳を立てるかドン引きですけど?
「いや、それをここで言わせる? いやいや、ダメダメ。昼間には語れないわ」
「益々知りたいですね、参考に」
くそう。面白がってるな。
なんとか話の主導権を取り戻さなくちゃ。
「だめ。言えないわ。……話を戻すけど。逃げられる前に捕まえとけばいいんじゃないの? 麻由ちゃん。年齢的に結婚はありでしょ?」
「うわ、逃げましたね。結婚はアリですよ、もちろん。俺も結婚はするつもりです。でも彼女も仕事頑張ってるし、なんとなくそんな雰囲気じゃないんだよな。結婚するタイミングってどのタイミングなんですかね」
「したいと思った時がその時よ。私と隆二くんなんか出来ちゃった婚よ? それでも勢いでなんとかなったわよ?」
そう。多分ズルズル悩むより良かったと思う。
ああなった以上他の選択肢はないし、共通の目的は二人の距離を一気に縮めた。