悪魔のようなアナタ ~with.Reiji 2~



――――玲士の言葉と、理代の言葉。

何が真実なのかはわからない。

初めて玲士に抱かれた時、玲士が既に経験済みであることは灯里もなんとなくわかっていた。

けれどそんなことを気にする余裕がないほど、玲士は深く熱い感情を自分にぶつけてきた。

自分にも過去があるように、玲士にも過去がある。

それはわかっている。

過去を責めることはできない、けれど……。


――――なぜ、あの人なのだろう。


相手が知らない人ならまだ良かった。

玲士の腕が、手が、あの人を抱いたと思うと……どうしても、嫌だ。


「……っ、ううっ……」


涙がとめどなく流れる。

灯里は膝を抱え、ベッドに横たわった。

と、その時。


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