悪魔のようなアナタ ~with.Reiji 2~
「あ、お姉ちゃん」
リビングにいた柾貴が驚いたように灯里を見た。
柾貴は既に野球のユニフォームを着、大きなバッグを背負っている。
そろそろ部活に行くらしい。
「お姉ちゃん、大丈夫? 昨日、様子がおかしかったけど」
「あ……うん。ごめんね、心配かけて」
「ぼく、そろそろ行くからね。夕方には戻る予定だから」
柾貴はリビングを出、玄関の方へと歩いていく。
どうやら柾貴には気づかれてなかったらしい。
ほっと内心で息をつきながら、灯里は玄関から出ていく柾貴を見送った。
「……」
はぁとひと息つく。
まさかこんなことになるとは灯里も思っていなかった。
けれど玲士が来てくれたお陰で不安な夜を過ごさずに済んだ。
玲士の過去を思うと、胸が痛む。
けれど玲士に玲士に会えたことで、心が幾分軽くなった。
まだモヤモヤしたものは残っているが、昨日の胸の痛みに比べたら大分ましな気がする。
願わくば、玲士も同じように思ってくれていると嬉しいのだが……。