悪魔のようなアナタ ~with.Reiji 2~
玲士の手が灯里の腕を掴み、ぐいと引き寄せた。
なすすべもなく灯里は床の上に転がってしまう。
逆転した視界に灯里は息を飲んだ。
玲士は灯里の耳の両脇に手をつき、うっすら笑って灯里を見下ろす。
「どこに行ってたの?」
「……っ」
「おれを放っていくなんていい度胸だね。ねぇ、灯里?」
昨日の雰囲気など微塵も感じさせない、余裕のある笑み。
その悪魔のような微笑みに灯里は思わずひぃと息を飲んだ。
――――やばい。
玲士は灯里と夜を過ごすとき、目を覚ましたときに隣に灯里がいないとかなり不機嫌になる。
とはいっても今回は非常事態だ。
灯里は必死で机の上の部屋着を指差した。
「れっ、玲士の服、洗濯して乾かさないとって思って……」
「……」
「あれに着替えて。そしたらあたし、洗濯を……」