悪魔のようなアナタ ~with.Reiji 2~
人はどんどん増え、前が見えなくなってくる。
二人はやがて浅草橋に着き、隅田川を渡った。
渡る途中、夜空に次々と咲く花火を見上げ、灯里は少し笑った。
「来年もまた、見れるかな?」
「見れるよ。……来年も再来年も、その先もずっとね?」
玲士の言葉に灯里は目を和めた。
きっと来年の今頃は玲士と東京で暮らしているだろう。
仕事はどうするのか、生活はどうするのか、いろいろ不安はある。
けれど玲士と一緒に生活できると思うと胸が弾む。
「あ、焼きそばだ~」
「……やっぱ花より団子だよね、お前は」
「いいでしょ、お祭りなんだから!」
灯里はすたすたと露店の方へと歩いていく。
玲士はくすりと笑い、その後ろ姿を眺めていた……。