悪魔のようなアナタ ~with.Reiji 2~
<side.玲士>
人波の向うに、露店に並ぶ灯里の姿が見える。
灯里は辺りを見回しては、きらきらとその瞳を輝かせる。
玲士は今日、浴衣を着た灯里を初めて見た。
――――はっきり言って反則的なまでに綺麗で、可愛い。
本当は灯里の浴衣姿を大衆の目に晒したくはない。
マンションから出るとき、普段着に替えてくれと何度口から出掛かったか知れない。
しかし一時間もかけて一生懸命浴衣を着た灯里に、そんなことが言えるはずもない。
「……灯里」
名前の通り、灯里は玲士の心の隅々まで照らす唯一の『灯り』だ。
先月のあの夜、不安に駆られて深夜に会いにいってしまった玲士を灯里は優しく受け入れてくれた。
そして、玲士の心を闇から救い出してくれた。
『あたしは玲士が望むなら、どこへでも一緒に行くよ。光の中でも、闇の中でも』
『過去なんて関係ない。あたしは玲士を幸せにしたい』
『あたしは玲士から離れたりしない。離れられないのはあたしも同じだから』