悪魔のようなアナタ ~with.Reiji 2~
「じゃあお前、……次が決まるまでは、東京に来ないつもりなの?」
灯里の心を覗き込むかのような、氷の瞳。
久しぶりに見るその鋭さに、灯里は息を飲んだ。
玲士は灯里を見据えながら低いテノールの声で告げる。
「……なんで?」
玲士は灯里の瞳をじっと見つめる。
灯里は玲士の瞳の中に冷やかさ以外の感情があることに気が付き、息を飲んだ。
――――何かをひどく切望するような、その瞳。
「なんでって……。だって仕事に就かないと、生活が……」
「お前ひとりぐらいおれが養うよ。それともなに? おれじゃ頼りにならない?」
玲士はその目を細めてうっすらと笑う。
灯里は慌てて首を振った。
玲士が頼りにならないなんて考えたこともないし、そもそも頼りになるとかならないとか、そういう問題ではない。
これは自分自身の問題なのだ。
「違うの、そうじゃないの。玲士が頑張って上に行こうとしてるから、あたしも玲士に釣り合う人間になりたいって思って……」
「……釣り合う?」
「そりゃ、玲士のレベルに到達するのはまだまだ先だけど。あたしも……」