悪魔のようなアナタ ~with.Reiji 2~
10月初旬。
街の木々が赤く色づきはじめる季節。
灯里は東京駅を発車する特急列車の座席に玲士とともに座っていた。
関越方面に向かう特急らしいというのはプレートを見て分かったが、どこに行くのかはまだ聞かされていない。
「ここから2時間ぐらいかな。少しかかるから、寝てていいよ」
「2時間……」
「本当は目隠しとかすると本格的なんだろうけど。……でもそんなことをしたら、別のところに連れて行きたくなるからね」
玲士は楽しげにくすくすと笑う。
別のところ……。
まさか魔界だろうか?
などと考えている灯里の膝に玲士は自分のコートをそっと掛ける。
「?」
「冷えるでしょ。掛けておいた方がいいよ」
ふわりと香る優しいウッドノートの香りに灯里はドキッとした。
……なんだか玲士がいつにもまして優しい気がする。
頬を染める灯里に、玲士は目を細めて笑った。
「お前を貸切りなんて、そうそうできないからね?」
「……っ」
「貸切り。……いい響きだよね。そう思わない、灯里?」