悪魔のようなアナタ ~with.Reiji 2~
楽しげな玲士の声に、灯里はひぃっと背筋が強張るのを感じた。
貸切りにする方とされる方では言葉の重みが全く違うのだが……。
自分はひょっとして、とんでもないことを承諾してしまったのではないだろうか?
なにしろこの男は悪魔で魔王だ。
と思うが既に遅し。
「灯里、何か飲み物は?」
「うーん、……微糖のコーヒーがいいかな」
「了解」
玲士は立ち上がり、デッキの方へと歩いていく。
その後ろ姿を見ながら灯里ははぁと息をついた。
……この優しさが恐ろしい。
素直に嬉しいと思えないのはなぜだろう。
やがて玲士が缶コーヒーを片手に戻ってきた。
と同時に電車が動き出す。
「はい」
「ありがと、玲士」
缶コーヒーを受け取り、灯里は窓の外を見た。
窓の外に東京のビル群の景色が流れていく。
どこにいくのかはわからないが、わからない分楽しみでもある。
灯里はプルタブを開け、コーヒーを一口飲んでほっと息をついた。