悪魔のようなアナタ ~with.Reiji 2~
「わぁ……」
赤く染まる紅葉の林の向こうに純和風の建物が見える。
山の中にひっそりと佇む隠れ宿といった感じだろうか。
車を降りて重厚な黒木でできた門をくぐると、和服を着た女性が玄関の入り口で深々と頭を下げた。
どうやらこの宿の女将らしい。
女将は挨拶の後、二人を離れの部屋へと案内した。
案内された部屋は二間続きの広めの和室で、床の間には生花が飾られている。
窓からは雪を冠した北アルプスの山並みが見える。
女将は二人に館内と部屋について一通り説明した後、静かな所作で部屋を辞した。
「すごい……」
灯里は目を輝かせ、窓へと寄った。
山一面の紅葉と、その向こうに見える美しい山並み。
こんなに綺麗な景色を見られるとは思っていなかった。
ふと部屋の外を見ると、建物の脇を渓流が流れている。
さらさらと流れる川の音が耳に心地よい。
景色を食い入るように見る灯里に、玲士が部屋の隅から声をかける。
「灯里、おいで」