悪魔のようなアナタ ~with.Reiji 2~

4.灯里の過去




紅葉の間から柔らかい陽が差し込む、露天風呂の中。

ひと通り苛め抜かれた灯里は、浴槽の縁に座った玲士の膝の上にぐったりと抱きかかえられていた。

まだ陽が高いためお互いの体がはっきりと見える。

はぁと息をついた灯里の体を、玲士がまじまじと見る。


「……お前、こんなところにほくろがあるの?」

「背中? ……あぁ、それは昔から……」

「この傷痕は?」

「あー、それは……」


と言いかけた灯里だったが、途中で言葉を止めた。

それは昔、晃人と川に遊びに行ったときに転んでできた傷だ。

言っていいのか言わない方がいいのか、と焦って考えている灯里の前で玲士の瞳がすっと細められる。


「なに?」

「……」

「言いなよ」


どうやら感づかれたらしい。

心底、自分は隠し事をするのに向いてないと思う。

灯里は嘆息しながら口を開いた。


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