悪魔のようなアナタ ~with.Reiji 2~
夕刻。
夕陽の残照が夜闇に覆われ、消えていく頃。
灯里はテーブルに並んだ料理に歓声を上げていた。
「すごいっ!」
豆腐や和え物の先付に、新鮮なお造り。
野菜と和牛の陶板焼きに、色よく盛られた煮物。
まさに和食という感じの料理がずらっと並んでいる。
「揚げ物と焼き物は後でお持ちいたします。ごゆっくりとお楽しみくださいませ」
仲居さんが三つ指をつき、部屋を退室していく。
灯里は目を輝かせ、対面に座る玲士を見た。
部屋に用意された紺色の浴衣と羽織りを着た玲士は、湯上りということもあってかいつになく色っぽい雰囲気だ。
ドギマギする灯里に、玲士が日本酒の入った徳利を差し出す。
「ほら、灯里」
「……あ、うん」
灯里は慌てて杯を取った。
徳利も杯も備前焼だろうか、とても落ち着いた色合いで手触りがいい。