悪魔のようなアナタ ~with.Reiji 2~


「大吟醸だからお前でも飲めると思うよ?」

「……大吟醸?」


灯里はお酒の種類はよくわからない。

玲士はくすりと笑って徳利からお酒を注ぐ。


「そ。普通の日本酒よりは飲みやすいと思うよ?」

「玲士は日本酒にも詳しいの?」

「いや、ワインやシャンパンほど詳しくはないかな。ちなみにこれは福井の地酒。吟醸酒で有名な酒蔵だよ」


それだけ詳しければ充分のような気もするが。

と思いながら、灯里は玲士から徳利を受け取り、玲士の杯に注いだ。


「誕生日おめでとう、玲士! ……乾杯っ」

「乾杯」


玲士はにこりと笑い、杯を傾ける。

浴衣を着ているせいかその仕草は想像以上に色っぽい。

灯里はドキドキしながら自分の杯を傾けた。


「……おいしい!」


日本酒というと強くてツンとするイメージだったのだが、このお酒は水のようにすっと喉に入っていく。

そして口の中に広がる、上品な香りと旨み。

日本酒ってこんなに美味しいんだ、と初めて知った灯里は目を輝かせた……。


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