悪魔のようなアナタ ~with.Reiji 2~



翌日。

灯里は退職届を山岡課長に提出した。

山岡課長は一瞬目をぱちくりさせた後、はーっと息をついて退職届を受け取った。


「……灯里ちゃん……」

「すみません、課長」


ぺこりと灯里が頭を下げると、山岡課長は脱力したように椅子の背もたれに寄りかかった。

その寂しそうな目に灯里の胸もシクリと痛む。

山岡課長は退職届の中身を確認し、口を開いた。


「……寂しくなるなぁ」

「課長……」

「水澤のところにいくのかい?」

「はい。年内に結婚する予定です」


灯里の言葉に、山岡課長は少し笑った。

――――新入社員の時から灯里を導いてくれた上司。

少しのほほんとしているところはあるが、灯里とは波長が合っていた。

しんみりする灯里に、山岡課長もしんみりした顔で言う。


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