悪魔のようなアナタ ~with.Reiji 2~
2.結婚の準備
11月中旬。
灯里は玲士とともに銀座の百貨店にいた。
1Fのジュエリーコーナーを歩きながら、たまに立ち止まってショーケースを覗き込む。
「うーん、もっとシンプルな方がいいかな……」
「お前はどういうデザインが好きなの? やみくもに探しても決まらないよ?」
二人はジュエリーコーナーで結婚指輪を探していた。
気になったものは試着させてもらい、指に嵌めた感じを確かめる。
あれから、11月上旬に親の顔合わせと結納を終え、灯里は今、新生活の準備をしている。
灯里は11月末日付で忍村商事を退職することとなり、今は有給消化中だ。
東京での新しい仕事は年明けから始まるので、12月は結婚の準備に充てることができる。
「あ、これキレイだな……」
「どれ?」
「ほら、その……ラインが入ってる指輪」
灯里が指差したのはプラチナでできたシンプルな指輪だった。
斜めに小さな点打のラインが入っており、繊細で優美な印象だ。
「嵌めてみる?」
「うん」