悪魔のようなアナタ ~with.Reiji 2~
「……」
灯里は思わずその少年をまじまじと見てしまった。
サラサラの黒髪に朝の湖のような透明感のある瞳、すっと通った鼻筋に形の良い口元……。
はっきり言ってテレビや雑誌でも見たことがないほどの美少年だ。
背は灯里と同じぐらいだが手足のバランスがとても良い。
――――こんなに綺麗な子が世の中にいるんだ。
ぼーっと見つめている灯里の視線の先で、少年は無言でクラリネットの調整をしている。
やがて合同練習が始まり、灯里は慌てて自分のフルートに向き直った。
「えっとそれでは、まずは軽く合わせてみましょうね~」
担当の先生が指揮棒を片手にパラパラと楽譜をめくる。
まずは課題曲を一通り流して弾くらしい。
灯里は姿勢を正し、フルートを構えた。
先生の指揮に従い、楽譜に沿ってフルートを吹いていく。
「……」
灯里はフルートを吹きながら隣の少年を横目でちらちらと見た。
見ようと思って見たわけではなく自然と目がいってしまうのだ。
灯里の隣に座っているということは同じ学年なのだろう。
しかしクラリネットを弾く姿は一枚の完成された絵のように美しく、そして驚くほどに上手い。
――――なんだろう、この人。
灯里は驚きながら課題曲を吹き終えた。