悪魔のようなアナタ ~with.Reiji 2~



午後。

灯里はリビングで届いた段ボールを一つずつ開け、荷物の整理をしていた。

服を取り出し、クローゼットにしまう。


クローゼットはウォークインになっており、玲士の服が既に並んでいる。

玲士の服もさほど多くはない。

黒や白、紺やカーキなど、落ち着いた色合いの服がほとんどだ。

そしてどれも手触りがとても良い。

灯里はつい、玲士の服を一つずつ触ってしまった。


「いいなぁ……」


玲士は服の素材にこだわる方なのかもしれない。

今度聞いてみようと思いながら灯里はクローゼットを閉じた。

と、そこで灯里は段ボールの中に香川さんからのプレゼントが入っていることを思い出し、段ボールの奥からそれを引っ張り出した。


――――忍村商事の最終出勤日。

挨拶に行った灯里に、香川さんは小さな紙袋を手渡した。


『これ、結婚祝いね?』

『えっ……』

『あ、お返しはいいから。そんなに高いものじゃないしね』

『え、そんなっ……』


驚く灯里の耳に、香川さんは唇を寄せて囁いた。


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