悪魔のようなアナタ ~with.Reiji 2~
談話室の中に入ると既に先客がいた。
玲士のお父さんによく似た精悍な顔立ちに、すらっとした体つきの大人の男性。
そしてその横に3歳くらいの子供を抱きかかえた長い茶髪の女性の姿がある。
恐らく玲士の兄夫婦だろう。
「はっ、はじめまして。吉倉灯里です」
ぺこりと挨拶した灯里に、男性は立ち上がって静かに近づいてきた。
目の前に立たれるとその背の高さがわかる。
玲士と並ぶとまるで壁だ。
男性は優しげな目でにこりと笑い、灯里を見下ろした。
「こんにちは、はじめまして。僕は亮士、玲士の兄です」
「よ、よろしくおねがいしますっ」
灯里はもう一度頭を下げた。
こう見ると、玲士とお兄さんはあまり似ていない。
お兄さんはお父さん似で玲士はお母さん似らしい。
ぱっと見、兄弟のようには見えない。
思わずぼうっと見上げてしまった灯里の肩を、玲士が軽く叩く。
「さ、こっちに座んなよ」
「う、うん」
灯里は玲士に言われるまま談話室の椅子に座った。
そこに玲士のお母さんが人数分の飲み物を持って入ってくる。
こう見ると確かに美形ぞろいで迫力はあるが、話した感じはみんな普通だ。
一番普通でないのは玲士だろう、多分。
灯里は心の隅でどこかほっとするのを感じた。