悪魔のようなアナタ ~with.Reiji 2~
一時間後。
お互いの自己紹介を一通り終えたところで兄の亮士が立ち上がった。
「ではそろそろ、家の中を案内しようか」
「そうだね。おいで、灯里」
亮士に続いて玲士も立ち上がる。
灯里も慌てて立ち上がろうとした。
そのとき。
その物音に気付いたのだろう、奥さんの腕で寝ていた子供がうっすらと目を開けた。
亮士と同じ、優しげな瞳の男の子。
まだ3歳ぐらいだろうか。
亮士は子供の髪を軽く撫で、抱き上げた。
「起きたか、翔太」
どうやら翔太くんと言うらしい。
翔太はしばらくボーッとした目で辺りを見回していたが、その視界に灯里を映すとなぜかはっとしたように目を見開いた。
「どうした、翔太?」
「……おりるっ」
翔太は手足をバタバタさせ、亮士の手から降りようとする。
亮士は慌てて翔太を下ろした。
翔太は降りるとすぐ、灯里に向かって一直線に走ってきた。