悪魔のようなアナタ ~with.Reiji 2~
いつものラフな格好ではなくきちんとした格好をした灯里は予想以上に綺麗だ。
――――会わないうちに綺麗になっていく彼女。
灯里の心は自分にあるとわかってはいても、なぜか心配になる。
もちろん翔太相手に心配しているわけではないが。
あれからもう15分ほど経つ。
そろそろ灯里を迎えに行った方がいいかもしれない。
玲士は窓から離れ、談話室を出た。
途中、キッチンに寄って棚からグラスを出す。
キッチンの窓からは庭を眺めることができ、ボールを追いかけている二人の姿が見える。
玲士はひとつ息をつき、水を一杯飲んでグラスをシンクに置いた。
自分もそれなりに緊張していたのかもしれない。
と踵を返してキッチンを出ようとした、その時。
キッチンの入り口に長い茶髪の女が立っていることに気づき、玲士は足を止めた。
亮士の妻・理代だ。
無言で脇を通り過ぎようとした玲士の腕を理代がそっと掴む。
その濡れたような黒曜の瞳に、玲士の胸の中に冷たいものが広がっていく。
――――灯里のきらきら輝く瞳とは全く違う、澱んだ瞳。