悪魔のようなアナタ ~with.Reiji 2~
「では15分間の練習タイムに移ります。15分後にもう一度合わせますのでしっかり練習してくださいね~」
先生の声とともに灯里はフルートを下ろした。
隣の少年が気になってあまり上手く吹けなかった……。
とはぁと息をついた、その時。
「ねぇ」
少年が口を開いた。
まだ声変わり前の高めのアルトの声に、灯里は驚いて少年の方を向いた。
その瞬間、灯里は凍りついた。
その少年の瞳はいつのまにか氷のような冷たさを帯びていた。
そして続いた言葉はさらに冷たかった。
「それ、フルートなの? フルートならフルートらしい音を出してよ」
「……」
灯里は唖然と目を見開いた。
何を言われたのか一瞬わからなかった。
そんな灯里に、少年はとどめを刺すように言う。
「これまで聴いた中で、かつてないほど悲惨なフルートだね。やる気あるの? お前」
「……っ」