悪魔のようなアナタ ~with.Reiji 2~




頭の上の小窓から声が聞こえ、灯里は思わず息を潜めた。

この声は多分、亮士さんの奥さんだ。

確か理代さんと言ったはず。


しかし続いた声に灯里は目を見開いた。


『あんたには関係ない』


玲士の声だ。

聞き間違えるはずもない。

灯里は固まったままその場に立ち尽くしていた。


『ねぇ玲士君、あなたまだ、あのこと怒ってるの?』

『……』

『私も反省してるのよ。親族なのにあなたと一生こんな関係でいるのは辛いわ。どうしたらあなたは私を許してくれるのかしら?』


二人の会話。

なんのことなのかよくはわからない。

けれど……なんとなく。


聞いてはいけない話を聞いてしまった気がする。


ここにいては、まずい。

灯里はぐっと拳を握りしめ、ボールを持ってその場を後にした。


< 32 / 222 >

この作品をシェア

pagetop